まだ硬く閉じたままでいる蕾を、じっくりと時間をかけて、解していく。
舌を這わせ、指を滑り込ませると、レゴラスは小さくうめく。
中指を根元まで押し込んで、内側から刺激してやると、蕾はゆっくりと花開いていく。

「・・・・ください・・・・もう・・・・」

「まだ、辛いだろう」

「・・・・欲しいんです・・・お願い・・・・」

 指を引きぬいて、先端部分を押し当てると、
レゴラスは体の力を抜くように大きく息を吐く。
少し緩んだそこに、ゆっくりと身を沈めていく。
少し動くたびに、レゴラスは声をあげる。

「あ・・・・ん・・・・」

「もう少し・・・・」

「んん・・・・」

「・・・・大丈夫か?」

 半分まで入れたところで、動きを止めて訊ねる。
うっすらと瞳を上げたレゴラスは、恍惚の表情を見せた。

「気持・・・・いい・・・・」

 また、目を閉じる。エルロンドは、少し引き抜いては、更に深くまで入り込んでいく。

 根元まで沈めて揺さぶると、レゴラスは歓喜の声をあげた。

 そのまま、エルロンドは本能のまま抜き挿しを繰り返す。
だんだんと動きを早めていくと、レゴラスはエルロンドの腕を掴んで身をのけぞらせた。

「・・・・・出ちゃう・・・・」

「このまま、いきなさい」

 優しく囁かれ、レゴラスは自分から深く求め、そしてあっけなく果てた。

 腹の上に吐き出された液体を、エルロンドは指ですくい、自分の口元にもっていく。

 若い欲情は、ねっとりと甘さを含んでいた。

 レゴラスの体内に侵入したまま、今度はその体をうつ伏せにさせ、膝を立たせる。
背後から攻め上げると、今達したばかりのそこが、また硬さを帯びてくる。

 震えるレゴラスのそこを片手で軽く握り、後の蕾を押し開いて激しく打ちつける。
そうすると、若い肉体はまた絶頂を迎えた。

 溢れる欲情は、疲れることさえ知らない。

 三度目は、レゴラスはエルロンドにまたがって、自分から腰を振った。

 体が上下に揺れるたび、細い金糸が薄暗いライトに映える。
腰を支えてやり、動きを補助するように下からも突き上げる。

「また・・・!」

 赤い舌が空気を求めて唇からのぞく。

「ああ・・・・・!」

 鼻にかかる甘い悲鳴をあげて、レゴラスはまた欲望の液体を吐き出した。

 ぶるぶると体を震わせ、ぐったりとエルロンドの腕の中に崩れ落ちる。

「・・・・私はまだ、イっていないよ」

 意地悪な言葉を耳元に落すと、レゴラスは透明な表情でエルロンドを見つめた。

「お前は、すぐイってしまうが」

「・・・・・エルロンド様・・・・・」

「あと、何回もつ?」

「・・・・・何度でも」

 微笑む唇を、淫靡に舐める。

「エルロンド様・・・・あなたが欲しくて、気が狂いそうです・・・・」

「では、本当に狂ってしまうがいい」

 まだ息の整わないレゴラスの、片足を掲げて乱暴に進入を果す。

「あ・・・・あ」

 髪を振乱し、与えられる快楽に酔う。

「ああ・・・・もっと・・・・もっと、してください!」

「いいかい、私以外の誰も、お前の中に入ってはいけない。
私だけがお前を満足させられるのだ。お前を犯した男たちなど、取るに足らない屑だ。
私の与える快楽で、過去の痛みを消し去ってしまいなさい」

 激しく突き上げられながら、エルロンドの言葉が頭の奥で響く。

 痛みも、悲しみも、憤りも・・・・・
愛する者との情事の前では、かすかなロウソクの炎でしかない。

「お前は、私のモノなのだよ」

「はい・・・・・」

 真白になっていく記憶の隅で、レゴラスは満たされる心を感じていた。

 

 

 

 ぬくもりに抱かれて、深い眠りに落ちる。

 もう、何も恐れるものはなかった。

 

 

 

「おなかすいた!」

 いつものようにキッチンに下りていく。
新聞を読んでいたエルラダンは、ぱっと顔を上げた。
本日の洗濯係のエルロヒアも、洗濯籠を抱えて入ってくる。

「俺たちは飯炊きか?」

 表情が少し硬い。昨日のことが気にかかっているのだろう。
レゴラスはいつもと変らぬ笑顔で双子に抱きつき、猫なで声を出す。
エルラダンが抱擁を返すと、後からぬっと現れた父親に、無言で引き剥がされた。

 悪びれもしないレゴラスが、嬉しそうにエルロンドに抱きつき、キスをする。

「息子の前で、そういうことをするなっての」

 若い恋人同士のように絡まりあう父親とその愛人に、溜息をつく。
そうしながらも、双子は目配せして肩をなでおろした。よかった。
いつものレゴラスに戻った。

 いつもの朝の風景に、玄関の呼鈴が鳴る。
双子が慌てて出ると、そこには妹君がにこやかに立っていた。

「おはよう、お兄様方」

「なんだ、こんな朝早く」

「朝食をご一緒にと思いまして」

 お気に入りのパン屋から買ってきた、焼きたてのパンを抱えている。

「オヤジ夫婦だけでなく、妹まで飯炊き扱いか」

 悪態をついて見せるが、アルウェンはニコニコしたままである。

「レゴラスは元気かしら?」

「ああ、すこぶるね」

 妹を居間に招きいれながら、はたと気がつく。

「アラゴルンの刺しがねだな?」

「ええ、まあ。とても心配していたの。でも自分は朝一番で会議があるからって」

「アラゴルンがどうしたって? あ、アルウェン! おはようございます!」

 ひょっこり顔を覗かせたレゴラスが、いつものように笑う。

 するとまた、玄関の呼鈴が鳴った。
エルロヒアが玄関を開けると、そこには珍しくガンダルフが立っていた。

「おはよう。朝食をいただきに来た」

 双子は顔を見合わせた。

「昨日はすまなかったな。手を煩わせてしまって」

 珍しい来客に、ちょっと驚きながらもレゴラスは笑って見せる。

「いいえ、あの程度の事」

 そうか、みんな心配して来たんだ。双子は笑いを押し殺しながら、キッチンに向った。
今日の朝食はにぎやかになる。

 驚きと戸惑いを隠しながら、エルロンドはいつもの食卓に着いた。

「エルロンド、すまなかったな、レゴラスを借りて」

 ガンダルフの言葉に、エルロンドは片眉を上げる。

「・・・・いや、かまわん」

「じゃが、夜の生活は少し控えた方がよさそうだな。目の下にくまが張っておるぞ」

 遠慮を知らない老人に、エルロンドの顔が引きつる。

「なあ、レゴラス?」

 そ知らぬふりでレゴラスは笑いながら、エルロンドの隣に腰掛けた。

「またグロールフィンデルさんに怒られちゃいますね」

 ガンダルフも、エルロンドの子供たちも笑ったが、
実は笑い事ではないことをエルロンドは感じていた。
今朝の出勤は気が重い。有能な秘書殿は、ガンダルフより深く突っ込んでくるだろう。

 隣のレゴラスが、事を察してすまなそうな顔をする。
エルロンドは大丈夫だと笑って見せた。これも、自業自得なのだ。
最初にこの少年に手をつけてしまったのは、自分なのだから。

 こんなに愛し、愛されて、それ以上に望むことなど、何もない。

 心配してくれる友人達に囲まれて、恥かしそうに笑うレゴラスを見ていると、
こっちまで幸福な気分になってくる。

「私は果報者だな」 

 エルロンドの呟きに、レゴラスはテーブルの下でそっと手を握った。

「僕は、とっても幸せです」