「フロド! フロド!!」

 ボロミアは叫んでいた。

 やりきれない後悔。

 胸がつぶされるほど。

 そして、オークの気配。

 ボロミアは走った。

 目の前に、メリーとピピンがいる。勇敢にも、戦おうとしている。

 その前に飛びだし、剣をふるう。

 混乱した頭。

 後悔と絶望。

 激痛と共に、己の体に刺さった矢を見下ろす。

 こんな・・・・

 こんなところで、死ねない!

 死ぬわけにはいかない!!!

 死の帳を前に、ボロミアは絶望の叫びをあげた。

 

 

 

「ボロミア!!」

 名前を呼ばれて、彼は飛び起きた。

「寝てたの?」

 見知った金髪の少年が、不機嫌そうに見つめている。

(・・・こんなに・・・幼かったか?)

「なんだ、寝ぼけてるのか? 社長室のソファーで寝るとは、いい度胸だ」

 後からアラゴルンが吐き捨てる。手に抱えているのは、
フライドチキンのパーティーパック。

「避けて避けて!」

 ボロミアをソファーの隅に追いやって、レゴラスが隣に座り、
手にしていた缶コーヒーやら野菜ジュースのパックやらをテーブルに投げ出す。

「ア・・・社長、それは何人分ですか?」

「二人分だよ。お前がそこで寝てるなんて知らなかったんだ」

 普通4,5人用のパックじゃないのか?

「分けてあげてもいいよ、一本くらいなら」

 レゴラスはもうパックを開けている。

「先に食うな、レゴラス! これ、お前の分のサラダ。野菜食え、野菜!」

「もう、うるさいなー! エルラダンとエルロヒアみたいなこと言わないの」

 喧々轟々しながらチキンを取りあう。取りあわなくてもいい数あるのに。
レゴラスは缶コーヒーをアラゴルンに投げてやり、
ボロミアには野菜ジュースを差出した。自分はコークのペットボトルを開ける。

 それからボロミアにちょっとよりかかり、
驚く意ほど大人びた声で、ポツリとつぶやいた。

「思い出さなくていいこともあるんだよ」

「なんの・・・」

 事かと言いかけるが、レゴラスはまたいつもの調子で
アラゴルンと口論し始めた。

 チキンのどの部分が美味しいとか、なんとか。

 散々食い散かしたあと、(本当に二人で全部食べちまった!)

「手を洗ってくるよ。べたべたでパソコン触れないから」

 レゴラスはそう言って社長室を出て行った。

 残った骨やら紙くずやらを紙袋に押しこみながら、
アラゴルンは呆然としているボロミアに、にやりと笑いかけた。

「楽しめよ、ボロミア」

 

 何の心配もしなくていい。

 心を痛めることもない。

 

そんな、世界があってもいいだろう?   











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 やってはいけない内容な気もするが、
ボロミアあまりに不憫で・・・・
こんなものを書くしか、私がして上げられることはないのね。