「暑い〜〜〜」
 エルロンド邸のリビング。
 帰宅したエルロンドは、苦笑する。
「エアコンをつければよいではないか?」
「クーラー苦手なんですぅ」
 ソファーで、タンクトップ・短パンでごろごろするレゴラス。
 うちわ片手に、むっくりと起き上がると、
ダークカラーのスーツをびっちり着込んでも、
汗ひとつかかずに涼しい顔をしているエルロンドを、
ほわんとした笑顔で眺める。
「暑くないんですかあ」
 まあ基本、会社も車中もエアコンが効いているので暑くはない。
が、炎天下でも大丈夫な自信はある。
もし何かの理由で、エルロンドが炎天下に立つことになったら、
グロールフィンデルが後ろから日傘をさしてきそうだが。
自分は直射日光がんがん当たりながら。
 ついそんなことを想像するが、
エルロンドはそれは顔には出さず、涼しい表情でレゴラスに微笑んだ。
「長年の訓練の賜物だ」



「暑い」
 スランドゥイルの社ビル、社長室。
「うわ、だらしない!」
 所用で訪れたレゴラスは、顔を引きつらせる。
 窓全開。卓上扇風機を自分の机に置き、
風にあたりながらアイスキャンディーを咥えるスランドゥイルは、
アロハシャツに短パン、ビーチサンダル。
「ちょっと、ダレ過ぎじゃないの?」
「こう暑くちゃなあ」
 店舗担当レゴラスは、ちゃんと夏用スーツ着用。
「社長、これから会議なのに、その格好で出席するつもり?」
「社員には好評だぞ? クールビズ」
 そりゃあね、開襟シャツと生足だし。
「知ってる。社長のセクシーショット、
社内ラインネットワークで飛びまくってるから」
 総元締めはレゴラスだが。
「とにかく着替えてよ。社内会議じゃないんだから」
 えー…と不満げに、それでも仕方なくスランドゥイルは着替えに行く。
 待つこと数分。
 スーツに着替え、
ポニーテールにしていた髪をちゃんと下ろし整えたスランドゥイルに、
思わず見惚れる。
我が父ながら、完璧だ。
 そして、スマホを向けて、写真撮影。
「お前、毎日わしの写真など撮って、楽しいか?」
「楽しい!」
 レゴラスはにっこりと笑った。