千年の恋



どこから生まれ出でて、
どこへ去っていくのか。

それは、永遠の謎。

死の国を見た事はないが、神の国は存在する。

たぶん。

どちらにせよ、
己が一歩そこへ踏み込めば、もう己は己でなくなっている。
己を保ったまま、神の国を行き来できるほどの力を、
己は与えられていないのだから。

そもそも、
いかなる理由があって、己が生み出されたのか。

「万物は存在するために存在するのであって、その存在意義は後から生まれてくるもの」
優しい、花弁の舞にも似た声色に、瞼を上げる。
「・・・さあ、あなたは生まれた」
 生まれた。
 どこから、どこへ?
「あなたの名は、白択」
 まばゆい光の中、やわらかな花弁が舞い上がる。
 美しく。
 どこまでも、美しく。
 
 ああ、わたしは知っている。
 この者を知っている。

 わたしはたぶん、
 この者を愛するために生まれてきたのだ。



 千年の恋の始まり。



 永遠に結ばれる事のない、
 孤独な恋のはじまり。