千年の孤独 人の過ちにより生み出されしこの身ならば この身の存在自体が、過ちなのか。 人が禁を破り、 呪禁を破り、 (それ)を解き放った。 気づくと己は、野山を駆けていた。 ただ、 駆けていた。 長い長い、間。 人も、獣も、妖も、その身を恐れる。 「犬神様」 人にも、獣にも、妖にも、その身をさらし、恐れさせる事にも飽きた。 ならばと、その身を変化させてみる。 人に化けることは、容易であった。 すでに何百年の時を生きていたので、人のさまざまな年齢の容姿に化ける事ができた。 そして、その容姿のまま、何百年でも過ごす事ができた。 しかし、人は成長し、年老い、その姿を変える。 人の世界で交わるのなら、己の身もそうやって変化させねばならない。 なぜそうまでして、人の世にこだわるのか。 それは、独りでいることに飽きてしまったからだ。 妖たちは、皆、「犬神」を恐れる。関わろうとはしない。 だが人なら、 人と偽り続ければ・・・・。 冷たい雨が降る。 焼けた人里を彷徨い、また歩き続ける。 人は、 どうしてこうも簡単に死んでしまうのだろう。 もう 人と関わるのをやめようか。 もう 人のために創られしこの身。 人の過ちによって生まれ出でしこの身。 千年は、 あまりに長すぎた。 それでもやはり、 人を求めて彷徨う。